天皇陛下が皇位継承に伴い、一世に一度だけ行う皇室伝統の大掛かりな神事、大嘗祭が11月14日夕から翌日夜明け前まで、皇居・東御苑で古式ゆかしく行われます。新天皇が神々に新穀をお供えし、国家・国民の安泰と五穀豊穣を感謝し祈る、奈良時代以前から続く「神秘的」な皇室行事です。日本独自の農耕文化に根差した儀式と言われており、暗闇に包まれた午後6時半に始まり、電気の明かりも使わず、天皇が殿内にこもって行われる秘儀です。大嘗祭で使う新米の収穫地(斎田)は今年5月13日に皇居の宮中三殿で行われた「斎田点定の儀」で東日本(悠紀地方)の収穫地は栃木県、西日本(主基地方)は京都府に決まりましたが、これが神々に供える新米や酒となり、祝宴の料理にも使われます。大嘗祭の中心的儀式が11月14日夕からの「大嘗宮の儀」で、二つの儀式が同じ所作で繰り返されます。皇居・東御苑にこの儀式のために設営された大嘗宮で白い祭服を着た陛下がほのかな明かりの中、「悠紀殿供饌の儀」と言われる儀式で、奥に入った陛下は灯明の中、皇祖とされる天照大神の「神座」と向き合う形で座ります。悠紀田の新穀で調理した神々へのお供え、アワビの煮物などや、白酒黒酒を、陛下はご自分で神座にささげます。次に、神々に国家・国民の安泰と五穀豊穣に感謝し、祈る御告文を読み上げ、続いて直来(なおらい)として同じものを召し上がります。皇后さまは同じ白い十二単姿で、悠紀殿のすぐ近くの殿舎で拝礼します。秋篠宮ご夫妻ら皇族方も古装束で参列します。陛下は約3時間の儀式を終えて、休憩をとります。15日午前0時半から、もう一つの祭場殿舎「主基殿」に入り、同じ所作で「主基殿供饌の儀」を行います。「大嘗宮の儀」が終了した翌日の11月16日と同18日昼に、参列者が招かれる祝宴「大饗の儀」が、皇居の宮殿で開かれ、両陛下や皇族方と共に斎田の新穀の料理と酒をいただき、会場では古代の歌舞が演じられるそうです。大嘗宮は元来、一夜の特別なお祭りのために造り、儀式が終わったらすぐ撤去する簡素な建物だったようなのですが、戦後の大嘗宮は旧憲法下で天皇が神格化したときのものに近いため、出費が巨大(約10億円超)になってしまったとのこと。令和の大嘗宮の一般参観が11月21日から12月8日まで、皇居・東御苑で行われます。入場時間は午前9時から午後3時までで、参入は坂下門からです。