春分の日は1948年から制定されている国民の祝日です。「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ための日とされています。この日は本格的な春の到来を告げる日と考えられていて、ここから暖かさも増していきます。また、春分の日は昼と夜の長さがほぼ等しくなり、この日を境に太陽が上っている時間が長くなっていくために昔から「極楽浄土とこの世が最も近くなる日」ともいわれてきました。そのため、春のお彼岸にはお墓参りに行くという風習も残っています。
春分の日は1948年に国民の祝日として制定される前、「春季皇霊祭」という国家の祭日でした。この日は宮中で天皇による歴代天皇の御霊をまつる祭儀が執り行われていたのです。今でも毎年2回、春分の日に春季皇霊祭、秋分の日に秋季皇霊祭が斎行されています。元々、この日はお彼岸であって、先祖を祭る日でした。また、お彼岸に最も近い戌の日は、社日として氏子が氏神たる神社に参詣し、春は五穀豊穣を祈り、秋は実りある収穫に感謝する習わしがありました。
元々は「祝日 春分の日」ではなく、「祭日 春季皇霊祭」だったのですね。11月23日の「新嘗祭」と同様に、それまでの「祝祭日」が皇室の行事に基づいており、国家神道の色彩が強いとして、改廃を求めるGHQの勧告を受け、戦前12日あった「祝祭日」は祝日から排除され、代わりに9つの「国民の祝日」が制定されました。それまでの日本の祝日の名前は変更となり、かつての意味は学校等で教えられることなく、記憶から消し去られてしまうようになっています。
古来の日本人が先祖や自然の恵みに感謝をして過ごしていた一日を、現代を生きる日本人はただの休日として過ごしています。しかし、天皇陛下は毎年変わらず、歴代天皇をはじめ、皇室に関わるご先祖さまのお御霊をお祀りし、日本のたくさんの神様へ感謝の祈りを捧げておられます。私達も自然の恵みに生かされていること、つなぎつながり、今ここに存在していることをそろそろ思い出さなければいけないのではないでしょうか。それが現代の日本人が本来の美しい日本を取り戻すことにつながるのでしょう。春分の日には先祖や自然の恵みに感謝をする、そんな時間を持ちたいと思います。