プラウ耕起の後は、砕土・整地作業に入ります。畑を起こしたばかりの状態は表面が凸凹していて土も粗く、ゴロゴロしています。それを細かく砕き平にするのが砕土・整地作業です。土質にあった耕起を励行しても砕土・整地に抜かりがあってはいけません。せっかくの耕す効果も半減しかねないからです。播種した後、除草剤散布(土壌処理といって、これから出てくる草を防ぐ除草剤です)をするのですが、土が粗いと効果が下がるのです。加えて、大豆は茎の根元にも莢(さや)がつきますので収穫時は地面ぎりぎりに刈り取りをするため、畑の表面が凸凹だと刈り取りに大変苦労します。プラウによる最初の耕起を1次耕とするなら、砕土・整地は2次耕であり、播種床造成のための第1工程、第2工程ということになります。
砕土・整地の基本は、適度に填圧されて保水性が良好であること、作土の表層1/2は2回以下の土塊が70%程度を占めるように砕土され、種子の居住性を確保することです。砕土・整地機はハローですが、この中にカルチベータと呼ばれるものがあります。動画は、カルチベータといって耕起による粗起こしだけでなくディスクもついている農業機械を使って砕土・整地作業を行っているものです。代表的なものがスタブルカルチベータで、その名のとおり、麦畑などの残稈(ざんかん:イネ科植物の茎が畑に残ること)をできるだけ早く腐食させるために、圃場の表層を浅く耕起し、残稈を土壌に埋め込む機械です。スタブルカルチベータは残稈処理ばかりでなく簡易耕起としても使用され、また、若干のアタッチメントを付けて砕土・整地機としても利用することができます。このような機種はフィールドカルチベータであり、ヨーロッパではカルチベータハローと呼んでいる場合もあるそうです。おそらく兼用機であることからそう呼んでいるのではないでしょうか。広幅の簡易耕起に使用し、時には砕土・整地機として利用されるものです。
我が国は高温多湿の環境にあるだけに雑草の繁茂量が多く、経営面積が増えるに従って除草の省力化に工夫しなければならなくなり、カルチベータは爪に様々な工夫を加え、除草機としての色彩を強くしていきました。先人たちは、鋤を使い人力で耕す場合でも漫然と耕起するのではなく、必ず表層の土壌を下層に移すように心がけたものです。それは有機物を鋤き込み、きれいに仕上げるためでなく、そうすることで雑草の繁茂を抑え、除草の省力化ができることを体験的に知っていたからです。現代は砕土・整地機の多様化時代といわれ、目的によって使い分けができます。砕土・整地は単純に砕けばよい、均せばよいで、事足りるものではありません。作物のために、作物が望む播種床を造成しようとすれば、機種別にその特性を考えてそれをフルに活かすことが大事です。