砕土・整地の後は、肥料散布です。施肥方法は大きく分類して、全面施肥と局所施肥があります。全面施肥は全面全層施肥ともいいます。肥料を圃場全面に散布して整地し、作物を栽培する方法です。作物の種類によって、根の分布が限られる場合は、肥料の利用率が低くなります。
全面散布に対応した施肥機はライムソアとブロードキャスタがあります。ライムソアは酸度矯正のための石灰や土壌改良資材の散布に利用されます。散布したい石灰等を投入する横長のホッパと撹拌を兼ねたロータがあり、シャッタの開度を変えて散布量を調整します。トラクタのPTOで駆動する方式と、ライムソアの車輪で駆動する方式があります。作業幅は1.2m~3mまであり、作業能率は30~150a/hです。ブロードキャスタは粒状の化学肥料を円盤に落とし、遠心力で散布するスピンナ型と、左右に揺動する筒で散布するスパウト型があります。散布幅はスパウト型、1スピンナ型が6~10m程度、大型の2スピンナ型は最大で20mの散布が可能です。作業能率は500~1000a/hです。遠心力で肥料を飛ばすため、距離により散布量が変わります。そのため、散布端の部分が重なるようにして、散布量を均一にする必要があります。牧草等の播種作業にも利用されています。近年、施肥量がトラクタの車速に連動し、散布精度が向上した機種も開発されています。
動画は、当社のトラクタで肥料散布しているものです。このトラクタはGNSS(Global Navigatiton Satellite System/ 全球測位衛星システム)ガイダンスによる自動操舵付きで、ブロードキャスタも計量器が付いていて、面積あたりの散布量を設定すると、そのとおりに自動で散布されるスグレモノです。
作物の生育には多様な栄養素が必要です。そして、そのいずれかが欠けたり、大きく偏ったりすることで生育不良や様々な病害を引き起こします。これらを適正に整え、健康な状態を保つことが大切です。pHによって養分の溶解性が変わるため、作物ごとに生育に最適なpHが異なります。適正な施肥を行うことで良好な生育環境をつくることができます。肥料の種類や散布量によって施肥作業機も幅広いラインナップがあり、さらに高精度な散布ができるGNSSガイダンス付きのタイプもあります。