高温多湿で生態系が豊かな日本の農業では、その分、数多くの虫や菌が発生し、一年をかけて防除・防虫・殺菌といった対策に追われます。圃場に分け入って手動で農薬散布を行う場合もありますが、重労働かつ丸一日かけても散布できる面積は小さいものでした。広範囲な散布を行うため、ヤマハやヤンマーといった業者は無人ヘリコプターによる農薬の「空中散布」を行ってきました。動画は当社の無人ヘリコプターによる防除作業です。メリットは作業効率が良いことです。1回の飛行で広域の散布を行うことが可能なのは大きな特徴です。一方で非常にデリケートな操縦が必要で、少しでも風にあおられるなどの要因で操縦を狂わせると墜落の危険性があります。自動で操作できれば良いのですが、オペレーターの腕にかかっているのは否めないと思います。
最近流行しているドローンですが、無人ヘリコプターと比べて取り扱いのハードルが低いことが魅力です。操縦面に関してはGPSとセンサーが搭載されているため、教習等を受ければ誰でも簡単に飛ばすことが可能です。例えば、ドローンは送信機からもし手を離したとしても、そのまま勝手に位置を保って飛行します。自動運転できるのは最大の強みで誰がやっても同じ作業品質が担保できるのは大きな特徴です。また、機動性が高いので圃場でも散布が可能であり、中山間地域など入り組んだ複雑な地形でも散布が可能です。自動航行を使用すれば、より簡単に圃場に合わせた散布が可能です。デメリットとしては、一度の飛行で散布できる面積が無人ヘリコプターと比較すると小さいことが挙げられます。これは、バッテリーの限界が大きく理由としてあり、どの農薬散布ドローンも飛行時間が約10分前後となっており、これは無人ヘリコプターでの散布面積に劣ります。
イニシャルコストとランニングコストを考え、作物や作地面積によっては、散布する農薬の種類や効率的な散布方法も変わってくるので使い分けする必要もあると思いますが、両方とも一長一短があり、今後の進展に期待したいと思います。