「土用干し(どようぼし)」をご存知でしょうか?「土用の丑の日は知っているけど土用に何を干すの?」と疑問に思う方もいることでしょう。土用干しは、夏の土用の時期に行なわれる年中行事です。干すものは、衣類や書籍、田んぼ、梅です。衣類や書籍は、土用の時期に陰干しすることで虫に食われないようになると言われています。「虫干し」とも言いますが、梅雨の時期についた湿気を取り除く意味があるそうです。
田んぼは土用の時期に水抜きをします。3日から1週間ほど水を抜くと田んぼの土にひびが入るほど乾燥します。そうすることで稲穂がしっかりと根を張り、風に強く育ち、よく実ると言われています。梅は6月頃に収穫し、塩漬けにしたものを土用の時期に3日間ほど干します。日干しすることで太陽の強い紫外線で殺菌し、保存性が高まります。塩漬けし、土用の時期に3日間ほど日干ししたものは「梅干し」になり、塩漬けしたけれど日干しをしないものは「梅漬け」になります。
土用とは雑節のひとつです。雑節とは、一年間を24等分した二十四節気だけでは十分に季節の変化を読み取れないので、二十四節気を補助するため、日本独自で考えられた暦のことです。五行思想(ごぎょうしそう:万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという自然哲学の思想)では、春=木、夏=火、秋=金、冬=水が割り当てられ、季節の変わり目には土が割り当てられていて、これを「土用」といいます。土用の期間は、立春(2月4日頃)、立夏(5月6日頃)、立秋(8月7日頃)、立冬(11月7日頃)の直前、約18日間のことです。
「土用干し」は一年間に4回巡ってくる土用の中でも、夏の土用の時期に行います。夏の土用は立秋の前の約18日間ですので、7月19日頃から8月6日頃ということになります。私達が普段、美味しくいただいているお米や梅干しには欠かせない年中行事が土用干しなのです。お米や梅干しを口にするときには、手間暇かけて作られていることに感謝をしなければなりません。衣類や書籍の土用干しはどのご家庭でもできることなので衣類や書籍を大切にするためにも是非やってみてください!