黄金色に色づいた稲穂がこうべをたれたら収穫のサインです。稲刈りは、米作り農家の総決算。お天気とにらめっこしながら稲刈りのタイミングをはかります。早く刈りすぎると米が充実する前で収量が少なく、遅れると収量は増えますが、籾が熟れすぎて米の色つやが悪くなってしまいます。収穫のタイミングをはかる目安が籾の水分量で、通常は水分が25%以下になったときが開始時期とされています。とはいっても、一番大事なのは水稲班の人たちのこまめな観察で、その年の天候を踏まえ、これまでの経験に裏付けられた判断が、刈り取りのタイミングをはじきだします。一枚一枚異なる田んぼの土の状態や稲の状況をよく見極めて、Goサインが出たら稲刈りをスタート、田んぼにコンバインが乗り込みます。
今年は長雨に悩まされましたが、8月に入るとようやく陽が照り、ここに来てなんとか稲刈りができるようにまでになりました。それにしてもこの時期は台風や雨が多いのでヤキモキします。突然のシャワー、雨が多かったこともあり、稲穂が倒れている田んぼも見られます。穂発芽しないよう、なんとか実りの秋、収穫の秋を迎えてみんなの笑顔が秋晴れとなったら良いなと願わずにはいられません。順調に行けば11月には出荷、直営店のごはんも新米でいただくことができるでしょう。
この日の稲刈りに出動したコンバインは稲刈りから脱穀、籾の選別、藁の処理までをまとめて行い、脱穀された籾はトラックに移され、すぐさま会社近くの専用の乾燥機まで運ばれます。かつての手刈りやバインダーとは大違いのスピードで作業は終了。これから1ヶ月強をかけてすべての田んぼの稲刈りを終えたら、みんなで今年の稲の出来を話しながら、一年の米作りを振り返ります。土作りから始まり、耕運、播種、育苗、あぜの草刈り、代掻き、田植え、田んぼの除草、中干し、溝切り、稲刈り、乾燥・もみすりと一年を通して、それぞれの作業・管理は多岐にわたり、気の遠くなるような量の多さです。それぞれの作業ひとつもおそろそかにできません。稲の光合成能力を高め、稲が本来もっている能力を発揮させるため、健全に生長するような栽培環境をつくり、収穫量の増大と食味向上を目指して精進を続けていきます。
「台風の被害もなく、無事に収穫できてよかった。ご苦労さま」といった端から、水稲班の気持ちはもう来年に向かっているのでしょうか。