豆腐の日は、東京都千代田区岩本町に事務局を置き、日本を代表する豆腐製造業者を会員とし、豆腐の製造・品質・流通に関する研究・開発・教育を促進する日本豆腐協会が1993年に制定したものです。日付は「とう(10)ふ(2)」(豆腐)と読む語呂合わせから10月2日になったそうです。同様に語呂合わせで毎月12日も「豆腐の日」としています。豆腐は大豆の搾り汁(豆乳)を凝固剤(にがり・その他)によって固めた加工食品です。東アジアと東南アジアの広範な地域で古くから食されている大豆加工食品であり、とりわけ中国本土(奥地含む)、日本、朝鮮半島、台湾、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、インドネシアなどでは日常的に食されています。ちなみに盛岡市は豆腐の消費量が日本最大級で年間一世帯あたり、全国平均76丁に対して、102丁もあるのです。納豆の消費額も日本最大級だそうです。大豆好きな人が多いのですね。
「腐」という漢字は本来、「納屋の中で肉を熟成させる」という字義から転じて、柔らかく弾力性があるものを意味するものでしたが、日本では食品に「腐る」という字を用いることを嫌って、「豆冨」や「豆富」などと記すこともあります。日本の豆腐は柔らかくて淡白な食感を特徴とする独特のもので「日本独特の食品」として発達してきました。これに対して中国や韓国の豆腐は炒めたり揚げたりして調理されることが多かったため、日本の豆腐に比べると水分が少なく硬いものとなっています。豆腐は大豆のタンパク質を最も食べやすくした代表的な健康食品です。豆腐は消化吸収がよく、タンパク質の栄養的価値は量と質(アミノ酸組成)により評価されています。豆腐の原料は大豆です。大豆は肉や魚に匹敵する高タンパクを含んでおり、大豆のタンパク質は必須アミノ酸のバランスが良い良質なものと言えます。
日本の豆腐には作り方の違いでできる木綿豆腐と絹ごし豆腐がありますが、舌触りや含まれる栄養の量がそれぞれ違います。木綿豆腐は、製造過程で水分をしぼるために、栄養分が圧縮されます。そのため、タンパク質、カルシウム、鉄分が、絹ごし豆腐に比べると、2~3割多く含まれています。しかし、水分をしぼることによって、ビタミンB類やカリウムが水分と一緒に流れ出てしまいます。このため、ビタミンB、カリウムは絹ごし豆腐の方に多く含まれています。
このように木綿豆腐と絹ごし豆腐、2種類の豆腐があることで、料理に幅が生まれます。焼いたり、炒めたり、煮たり、揚げたりする際には、しっかりとした硬さのある木綿豆腐がぴったりです。一方、冷奴やサラダなど、豆腐そのものの食感を楽しむときには、絹ごし豆腐のほうが良いようです。もっとも、冷奴には「木綿豆腐が良い」という方もいるはずです。自分の好みに応じて2種類の豆腐を食べわけられることも魅力のひとつなのかもしれません。絹ごし豆腐のような柔らかい豆腐が生まれたのは、江戸時代の中期と言われています。そのために、製造法の工夫もされてきました。豆腐の歴史は、より柔らかくて舌触りの良いものを求める歴史だったのですと言えるのです。豆腐の90%を占める水、「豆腐の命は水」です。日本に多い軟水は豆腐作りに最適な美味しい水です。昔から豆腐がおいしいと評判の京都の水も軟水です。豆腐の他にお茶や出汁もよりおいしくします。日本料理の基本は、ミネラルの少ない軟水によって生み出されたといえます。