共同募金活動は、都道府県を単位にして行われています。各都道府県内で共同募金としてお寄せいただいたご寄付は、同じ都道府県内で、子供たち、高齢者、障害者などを支援する様々な福祉活動や、災害時支援に役立てられます。赤い羽根共同募金運動の期間は10月1日から翌年3月31日までの6ヶ月間で、全国一斉に行われます。共同募金は、戦後間もない昭和22年に、市民が主体の民間運動として始まりました。当初、戦後復興の一助として、被災した福祉施設を中心に支援が行われ、その後、法律(現在の「社会福祉法」)に基づき、地域福祉の推進のために活用されてきました。社会の変化のなか、共同募金は、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、様々な地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を応援する、「じぶんの町を良くするしくみ」として、取り組まれています。
「共同募金」の仕組みは、もともとアメリカで始まりました。1913年のことです。アメリカの仕組みをもとに、太平洋戦争後、日本でも始まったのですが、シンボルとして「赤い羽根」を使っているのは日本だけです。「赤い羽根」には、勇気と良い行いのシンボルだそうです。アメリカの原住民族は、いろいろな色の羽飾りを頭などにつけていましたが、羽根には色によって意味がありました。勇気のある行いや、良いことをした人が、「赤い羽根」を付けていたと言われています。私達の住む町には、お年寄りや障害のある人、子育て中の人など、暮らしていくのに助けが必要な人達がいます。みなさん、ひとりひとりが手一杯かもしれませんが、みんなが暮らしやすくなるお手伝いをするために、みんなでちょっとずつ助け合うのが「赤い羽根共同募金」です。「赤い羽根共同募金」は、「地域の箱」という意味合いを持っています。
共同募金のルーツは、はるか昔のスイスの山深い町から始まりました。町には、その日に食べるものもない人達がいて、教会の牧師さんは心を痛めていました。ある日、牧師さんは道端に箱を置きました。その箱には、「与えよ、取れよ」と書かれていたのです。「食べ物が足りていて、誰かに分け与えることができる人は、箱に食べ物やお金を入れなさい。」「今日、食べるものにも困っている人は、箱から食べ物やお金をもらっていきなさい。」・・・この箱は、現在の募金活動にもつながる、次の3つのキーワードで成り立っていました。1つ目は、「匿名」です。決められた誰かを助けるのではなく、助けを必要とするみんなのために与えたのです。与える人も、自分が誰なのかを明らかにしなくてもかまいません。2つ目は、「任意」です。与える人も、取る人も、参加するのは自由です。そして3つ目は、「信頼」。道端に箱があれば、泥棒に盗まれたり、嘘をついて持っていってしまう人もいたかもしれません。だけど、街の人たちがこの箱の意味をわかって、本当に必要な人のためのものなのだと、お互いに信頼しあっていたからこそ、成り立った仕組みでした。
共同募金は、世界の40の国などで行われています。「赤い羽根共同募金」の他にもいろいろな色の羽根を使った募金活動があります。「緑の羽根」は森林づくりのために、「青い羽根」は海の事故を防ぐために、「黄色の羽根」は腎臓移植の支援に、「白い羽根」は青少年赤十字活動に、「海の羽根(水色)」は水難遺児の支援に、それぞれ役立てられます。最近では、ピンクリボン(乳がんの啓発)やオレンジリボン(子供の虐待を防ぐ)など、リボンをシンボルとした募金活動も増えてきています。活動に必要なお金を一人で出すのは大変なことだけど、みんなでちょっとずつ寄付すれば、より多くのお金が集まって、たくさんの人が活動に関わることができます。「共同募金」としてまとめて募金活動をして、共同募金会が審査して必要なところに助成していますので、どこに寄付すれば良いか、迷ってしまうことはないですね。