立春

 2021年の立春は、節分の翌日2月3日です。また、2月3日から二十四節気、第二節目である雨水の2月18日までの15日間を指します。立春は、二十四節気の第一節目で一年の最初の節氣になります。太陽暦の一年間、春夏秋冬を二十四分割したものを、二十四節気と呼びます。この場合、一年は二十四節気の「立春」から始まり「大寒」で終わります。「立春」は「春の氣、立つをもってなり」と由来を説明していますが、実際は春の気配を感じるどころか、一年のうちでも2月は最も寒くなることが珍しくありません。これは、春分の日(3月21日頃)を中心にした3ヶ月を春としているからです。別の言い方をすれば、冬至(12月22日頃)と春分の日の中間が立春になるのです。それなら、暦の春は春として、あなた自身が感じる春を見つけてみてはどうでしょうか。

 立春大吉とは、立春当日に、これからの一年が良い一年となるように祈願して、禅寺の入り口に貼る御札の文言です。御札へ縦書きにこの文言を書くと左右が線対称になることがわかります。反対側から見ても読めるのですが、それにまつわる鬼の話があります。ある時、立春大吉の御札が貼ってある屋敷へ鬼が入ってきましたが、ふと後ろを振り返って、門に貼ってあった立春大吉と書いた札を見るなり、「おや、これはさっき外から見た札だ。ということはまだ俺はこの屋敷の中へ入っていなかったのか」と言って、鬼は屋敷の中に入るつもりで、実際には入ってきた門を出ていってしまったのだそうです。お近くの禅寺でこの御札がないか、チェックしてみてはいかがでしょうか?

 立春の未明に出来上がったばかりの日本酒を、その日のうちに飲むことで新しい春をお祝いする「立春朝搾り」という日本名門酒会が1998年から提唱している催しが、毎年立春の日に開催されています。現在では全国43酒蔵が参加しているそうです。予約もできるところがあるようです。また、「朝生菓子」というものもあります。立春の朝に仕込んだ菓子を立春朝生菓子といいます。和菓子屋さんなどで「立春朝生菓子」を販売しているお店もあります。季節柄、うぐいす餅や桜餅が人気となっています。文旦(ぶんたん)は柑橘類の中でも大きい種類で和製グレープフルーツ「ざぼん」などとも呼ばれます。実がしっかりしていて水分量が多く、あっさりした甘みが特徴です。高知県産、熊本県産などがあります。岩手ではまだ立春の実感がないですが、立春に食べるもの、旬を迎える食べ物から春を感じてみるのも良いですね。

 暦の上ではこの日から春になるというのですが、こんなに寒いのに、なぜ春といえるのか、疑問に思う人も多いでしょう。これは古代中国の暦に由来しているから実際のズレを感じることになっています。欧米では慣例的に、春は春分の日から、夏は夏至から、秋は秋分の日から、冬は冬至からなので、日本の暦と1ヶ月半ずれています。日本の気象庁の区分では、春が3~5月、夏が6~8月、秋が9~11月、冬が12~2月となっています。ここ岩手ではまだ冬真っ最中なので地域によって春のおとずれは違うと思います。それでも立春に咲く花もあり、福寿草はその代表格です。個人的には、季節を感じる花をみつけて自分なりの立春を感じてみたいと思います。