排水性の悪い農地には暗渠(あんきょ)作業を行います。暗渠とは「地下に埋設したり、ふたをかけたりした水路」のことです。反対に開渠(かいきょ)という言葉があり、普通に水面が見える川や水路のことを言います。つまり、なんらかの手が加えられて水面が見えなくなってしまった川や水路のことを暗渠というわけです。農業でいう暗渠排水は、水はけが悪かったり、地下水の水位が高くてぬかるみがちな農地に土管などを埋めて水を集め、地下の水位を適切な高さに保ちながら、水はけを良くするという技術のことです。私達は普段、あまり意識しませんが、農耕地の下には見えない水管が走っているということです。写真は重機を使って溝を掘っているところです。暗渠排水は、どれだけの水を出すか、良い土壌をいかにつくるかといったところに技術や工夫があります。肥料は、水や空気に触れ、酸素を取り込むことによって効くのですから、最終的には、いかに土の中に空気を入れてやるかというところにたどり着きます。暗渠排水も、そのための手段に過ぎないので暗渠排水を施工して終わりではなく、水はけの良くなった土をどう利用して収量アップにつなげるか、良い土壌を保つ営農をいかに続けていくかも重要となります。