暖かくなってくるとビールが美味しいですね。ビールに焼肉は最高の組み合わせではないでしょうか。毎年4月23日は「地ビール(クラフトビール)の日」です。日本地ビール協会を中心とする「地ビールの日選考委員会」は、生まれつつある「ビール文化」の土壌を肥大にし、その芽を大きく育てる一助として「地ビールの日」「ビールの日」を公募しましたが、1999年10月8日のインターナショナル・ビール・サミット'99開会式で、4月23にちに決定したことを受けて、この日が「地ビールの日」となりました。「"ビールとは一体何か"を世界で最初に定めたのが、1516年4月23日にドイツ・バイエルンのヴィルヘルム4世が発令した「ビール純粋令」だそうです。ドイツでは1995年からこの日を記念して、4月23日を「ビールの日」としています。そういったことも関係しているのでしょうね。
「地ビール」とは、小規模ビール会社によるビールのことです。1994年4月の酒税法改正により、ビールの最低製造数量基準が年鑑2000kLから600kLに緩和されたことを受けて、全国各地で地域密着型・小規模醸造のビール会社が誕生し、地方ローカルブランドの「地ビール」が造られるようになりました。今では200あまりも国内のビール醸造所があります。「地ビール」は「クラフトビール(craft beer)」とも呼ばれ、「小規模醸造によるビール」という意味は同じですが、英語では「職人技のビール」「手作りのビール」などを意味する表現で呼んでいます。岩手には美味しいものが数多ありますが、盛岡にあるベアレンビールもかつて「世界に伝えたい日本のクラフトビール」コンテスト(2015年日本外国特派員協会で開催)で日本一に輝いたこともある「地ビール」であり、岩手の美味しいものを代表するひとつなのです。日本一に輝いたのはベアレンビールのフラッグシップである「ベアレン・クラシック」で、日本の大手ビールメーカーが販売している主力商品はピルスナーですが、ベアレン・クラシックはピルスナーを細分化した「ドルトムンダー」というスタイルで大手ビールでは「エビスビール」がその好例となっています。
ベアレンビールを造っているのはコンピュータ制御の最新設備ではなく、100年以上も昔から使われているドイツ製の古い醸造設備で最も古いものは1900年製のモルトミル(麦芽粉砕機)で、粉砕された麦芽は1908年製の銅製の仕込み窯で煮込まれます。ドイツスタイルのビールを中心に、伝統的なビールづくりにこだわりをもっているのがベアレン醸造所なのです。アナログの設備では温度や状態管理はすべて人の手に委ねられます。ビールは生き物であり、常に変化します。その変化を目で見て、音で聴いて、舌で確かめて、ビールとじっくり向き合って造っています。職人の技術と経験、繊細な感覚がベアレンビールの美味しさを生み出しています。失われつつある伝統や歴史を受け継いで古い設備を使い続けることに「クラフトビール」の造り手としてのこだわりを感じさせます。
ベアレン醸造所がビールづくりと同じくらい大事にしているのが、ビールを通じたつながり・コミュニケーションです。工場敷地内で開かれるビール祭りをはじめとして、県内の様々な場所で行っているビアフェストや直営パブで開かれるビール会など、ベアレンビールが飲み放題のイベントを数多く行っています。できるだけ多くの人にビールの愉しさや奥深さを知ってもらい、ベアレンビールの魅力も伝えたい、そのような思いで企画しているのがヒシヒシと伝わってきます。私はドイツのオクトーバーフェストに参加してビール祭りの愉しさを経験したことがありますが、日本でも盛り上がってくると良いですね。4月23日といえば、GWも間近です。岩手の厳しい冬を越えた慰めと春を迎えた喜び、そしてこれから来る暑い夏を思いながら、4月に土地のビールを飲むというのはいかがでしょうか?ボトルビールは岩手県全域のスーパーでほぼ手に入ると思います。